外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

自宅がジム化

コロナウイルス感染対策として、普通のスポーツジムは2週間前から閉鎖、私の住んでいるアパートメントのジムも少し前までは自己責任の元使用できたが、今は閉鎖されている。アメリカは今どこもこんな感じだ。

ヨーロッパとは異なり、アメリカではジョギングやハイキングといったエクササイズ目的の外出は禁止されていない。本当に家に篭りきりになると、肥満大国で持病持ちが多いアメリカは別の病気になるからだろうか…。

ただこの国は筋肉至上主義なところがあるので、ジョギングではなく、筋トレしないと耐えられない、もはや依存症みたいな人がたくさんいる。でもジムが開いていないとなると自宅でやるしかない。私を含めてみんなそう考えるのだろう。数日前target(アメリカ版イオン)にダンベルを買いに行ったら、1ヶ月前はメーカーも重量も色々揃っていたダンベルコーナーが空になっていた。文字通り棚に何もなかった。仕方ないから車で行ける範囲の他の店舗を調べてみても、どこもダンベルは売り切れ。ダンベルだけでなく、負荷をかけるためのレジストバンドなども在庫ゼロになっていた。仕方ないからその場ではバランスボールを買って、ダンベルは通販したので、私の家のリビングはもはや簡素なジムになっている。ヨガマットは収納するのが面倒なので、もう敷きっぱなしにしている。

アメリカに住んでいる友達何人かにこの話をしたら、みんな同じように、家のジム化が進んでいるようだった。なんだったらおすすめのエクササイズアプリまで教えてくれた人もいる。

日本だとダンベル買い占めなんて聞かないので、すごくアメリカ的な出来事だなあと思った。

ここ最近のアメリカの状況

報道されているとおり、アメリカの新型コロナウイルスの状況は良いとは言えない。私が住んでいるところも外出禁止令が出ていて、在宅勤務生活はもう既に2週間になろうとしている。日本だとNYやカリフォルニアのような感染者数が増大している地域のニュースが流れているので色々な人から心配されるが、私の地域では確かにトイレットペーパーはいまだ買えないものの、その他の日用品は食料は普通に入手できる状況である。日頃から特に差別がある地域でもないので、コロナが話題になってからも特に何か嫌な思いをすることもなく、大変なことになったねーと近所の人たちと会話していて、パニックにはなっていない。

NYやLAでは文字通りスーパーの棚が空っぽで、牛乳すら売っていないと同僚が嘆いていた。なんでこんな地方都市で働くことに…と思ったことがなくはないが、このような混乱した状況では、のんびりしたこの都市に住んでいてよかったと思う。

 

私は在宅勤務ができるような職種だし、大きな会社なので今のところ職に対する不安はない。これは本当に有難いことである。

というのも、外出禁止令が出る前からレストラン、バー、カフェはテイクアウトのみとなっており、一度週末に飲みに行った時は街中を歩いている人が全然いなかった。その時点で飲食店の売上は激減していただろうし、飲まないということはUberを使う人もいないので、Uberドライバーの人が仕事がないと嘆いていた。また、街中から人がいなくなると、雑貨屋などの他のお店の客足も遠のいていたようだ。今はもう外出禁止令が出たので、それらのお店はすべて一時閉店している。

私が住んでいる都市はチェーン店ではないバーや雑貨屋、洋服屋などが色々あって、そこがこの街の良いところである。ただ今回のコロナウイルスの影響によって、少なくとも多くのアルバイトは一時解雇になっているだろうし、お店自体が耐えられるのか分からない。私ができるのはお金を使うことくらいなので、ネットショップを持っているお店はそこから購入したり、Uber Eatsでローカルのお店にオーダーしたりはしているが、そんなものはすごく小さな売上にしかならない。

それに、私の会社だって無関係ではない。このままこの状況が続けば業績が下がり、解雇が始まるだろう。

 

日本の社員とも話しているが、アメリカの社員の方が強く不安を感じているように思う。毎日コロナウイルスのネガティブな情報が入ってきて、精神的に参っている、と私の上司は言っていた。普段から感情を表に出すお国柄というのもあるだろうけれど、自分が感染した場合に十分な医療を受けられるか分からないということもその理由としてあると思う。この国は毎年たくさんの人がインフルエンザで死亡しているような国である。すぐに医者にかかれないという医療制度のせいでもあるし、そもそも保険に未加入で、病院にすら行けない人がたくさんせいでもある。また、昔から肥満が社会問題になっていることから、糖尿病や特定の臓器への持病を持つ人が多いのも明らかである。

以前読んだ記事で、アメリカは破産申請の半数は医療費によるもので、そのうちの少なくない数の人が保険に入っていたにも関わらず医療費を支払えず、破産申請をすると書かれていた。地域によってはホームレスも多いし、私は途上国に住んでいるのか?と思うことは多々ある。

 

みんな、いつこの状況が好転するのか分からず、既に漠然とした不安でナーバスになっていて、これで失業者や破産者が増えれば、特に都市部では治安が悪くなるのだろう。少し前までまで普通に生活していたのに、こんなにもがらりと生活が変わるだなんて、SFの世界に飛び込んだみたいだな、と感じている。

あなたはいいよね、という言葉にイラっとする

日本で働いているときに、「あなたはなんでもできるから」とか「それはあなただから言えるんだよ」と言われることがたまにあった。特に職場で言われることが多く、「あなたはそうやって上の人にも意見が言えるけど、できない人だっているから配慮すべき」とか「私はあなたのような働き方はできない」とか、そういった内容だった。
アメリカに移ってからも日本の同僚から、「あなたは英語ができるから」とか「あなたは強くて適応能力が高いから」とかそんな具合のことを言われる。

私は自分がいかに努力したかを誰かにアピールしたり、つらいアピールをすることがあまりない。それにあまり意味を感じないし、できるかぎり色々なことにおいて楽しい面やポジティブな面を考えたいから。ただ、その結果、私のことを、生まれ持った要領の良さと頭の良さで苦労せずに良いポジションを得ている人、と思っている人がそこそこにいるんだろう。

確かに私は要領はそこそこに良いと思う。ただ、じゃあ何も苦労せずに生きてきたかというと全くそうではない。例えばアメリカに移りたての時、私はわりと英語ができるほうだと思っていたし、周りからもそう言われていたけれど、5~6人でランチをしたとき彼らの英語が全く聞き取れなかった。そのまま、できないできない、と思っていても仕方がないので、毎日彼らとランチし、週末も一緒に飲みに行き、車通勤中は日本の音楽をやめて現地のラジオにして、スーパーやバーでも店員さんと話すようにした。聞き取れなかった場合は、分からないからもう一回言って、と聞き返して、理解できなかったことをうやむやにしないようにした。
仕事だってそうだ。最初から何でもできたわけじゃない。むしろ記憶しておくことが苦手なので、入社したてはよく分からない返答をしていたと思う。でも、文字通り人の2倍働いて、早く1人で働けるように努力した。いつも「この人を超える」という人を設定して、その人と自分のどこに差があるのかよく考えて、その差を埋めていった。どれだけ上司に詰められても、諦めずに食いついていた。その結果、3人分の仕事を1人でできるようになり、そういった私の努力を見てる人は見ていて、私のサポーターになってくれる人が増えていった。このクソ野郎といつも思いながら一緒に働いていた人も数人いたけれど、結果的に今では全員が私の保護者のような存在になっている。

これだけ話すと、でもそれに耐えられるのはあたなが強いからだよ、とか言われると思う。ただそういうわけでもない。一時期は会社にいる間ずっと頭痛がして、帰宅してからもお酒を飲まないとうまく寝れなかった。ずっと何かに追われている気がしていたし、精神的にギリギリのところにいたと思う。でも、それを表に出すのは私の主義に反していたから、わりとへらへらしていたし、なんなら今ちょっと時間あるから他の人の仕事手伝えるよ、なんて言っていた。私が精神的にギリギリだったことに気づいていた人なんて、おそらくいなかった。

私には、頭が良くて仕事のできる友人がたくさんいる。私自身が、あなたはいいよねって言ってしまいそうなくらい優秀な人達だ。ただ、誰に聞いても私が上で書いたようなことを言われる。
1人の友人は「あなたは語学の才能があるから、って言われることがあるけど、そんな才能なんてない。語学習得はとにかく勉強するしかないし、辛くても、その言語を話す環境に自分を置かないといけない。コツがあるなら私のほうが知りたい。」と話していた。この友人は、今はヨーロッパで働いていて、その国の言語で仕事をしている。
別の友人は「くそみたいな職場だから辞めたくて、働きながら米国公認会計士取って、アメリカに移ったんだよ。」とまわりに気楽に言うけれど、前職で平日は夜中まで、週末だって働き詰めだったのに、その合間に勉強していたし、海外で職を得るために英語も努力してお金も投じていたことを私は知っている。

1人の女性の言葉は、私のいつも感じる違和感やイラっと感を適切に表現していた。彼女が言っていたのは、「あなたはいいよね、って言われると本当に腹が立つし、その時点でその相手を嫌いになるし、無能と判断する。彼らは私がどれだけ努力しているか想像もせずに、自分の保身のためにそういったことを言っている。」という言葉だった。
まさしくそれが私の気持ちで、他の人の保身やできないことの理由として自分を使われることに腹が立つのだ。
ただ彼女も私も、その気持ちを「あなたはいいよね」と言ってきた人に伝えることはない。

アメリカで人生初の給油をした話

アメリカに住み始めて、特に最初の1ヶ月は毎日学びの連続だった。

うまくコミュニケーションが取れなくてきついこともあったけれど、そこを気にしすぎると精神的に参ってしまうので、自分が新しくできるようになったことにとにかくフォーカスするようにした。左ハンドルの車を運転できた、とか、言い直ししないで英語が伝わったとか、小さなことで自分を褒めるようにしていた。

 

特に強烈に覚えているのは初めてのガソリンスタンド。

免許は学生時代に取得したものの、私は東京にずっと住んでいたので、運転することはほとんどなかった。どこか地方を旅行したときにレンタカーを借りて運転するくらい。旅行の時はいつも誰かと一緒だったので、文字通り人生で一度も給油したことがないままアメリカに来た。教習所でもガソリンメーターの読み方は教わっても、ガソリンの入れ方は習わなかったし。なんなら給油経験がないことすら気づいていなかった。

しかし、こちらで1週間くらい車を運転していて、ふと気づいた。あれ、車ってガソリン入れなきゃ止まるんじゃないの…?と。

メーターを見たらかなり減っている。とりあえずGoogle検索して、色んな心優しい人たちが画像付きで給油方法を書いてくれていたものの、そもそも給油をしたことがないので、書かれている単語が全然理解できない。また会社貸与の給油専用カードを使うことになっており、さらに複雑だった。

仕方がないので、とりあえずガソリンスタンドに行き、車を止め、レジでアルバイトのお姉さんに「ガソリンを入れたいので入れ方を教えてほしい」と伝えた。そのお姉さんは20歳前後の若い女性で、この地方都市で生まれ育った感じだった。つまり、外国人の英語に全く慣れておらず、しかも「ガソリンの入れ方を教えて」という質問自体が意味不明だったのだろう。ぶすっとした顔ではっきりと、「あなたの言っていることが全く分からない」と返答された。

拒絶されて正直すごくショックだったものの、ただここで引き下がったらガソリンを入れることができない。もうどうにでもなれ、という気持ちでそのお姉さんに「私はつい先週この国に引っ越してきた。それまで住んでいた国では電車を使っていたので、車に乗ったことはほぼなかったし、ガソリンを入れた経験が人生で一度もない。これが初めてのガソリンスタンド。だからどうやって支払いをしたらいいかも分からないし、給油の仕方も分からない。だから私にはどうしてもあなたの助けが必要。」と伝えてみた。

そうするとお姉さんが優しくなって、「ちょっと待って、あなた本当に人生で一度も給油したことないの?うそでしょ?笑」と聞いてきた。本当だよ、と答えると「分かった。じゃあ他のお客さんに対応するからちょっと待ってね。」と言ってくれ、揉めてることに気が付いた男性の上司も出てきて、「この子、初めてのガソリンスタンドだって言うの!すごくない!?」「まじかよ!どこから来たの?」といった具合で、急に2人ともフレンドリーになり、結局30分くらい2人とも私に付きっきりで給油の仕方と支払い方を教えてくれた。

正直、給油すらできない自分に失望してかなりショックだった。でも一方で、こんなに優しくしてくれるだなんて!と感動したし、私が日本で困っている外国人にここまで優しくしていたかな、と反省もした。

帰る際に私ができる精一杯の表現で、2人がいかに私の助けになったか、本当に心から感謝していることを伝えたら笑われたけれど、これ以降はできるかぎりこのガソリンスタンドを使うようにしている。

アメリカの地方都市で働き始めました

少し前からアメリカの地方都市で駐在員として働き始めた。私は東京生まれ東京育ちなので、色んな人から、あんな田舎でやっていけるのか?と言われながら渡米したものの、ダウンタウンにはそれなりにレストランやバーもあるし、あほみたいに大きいスーパーもたくさんあるし、渋滞もひどくないし、正直とっても快適に過ごせている。

田舎なのでアジア人差別を受けることも覚悟していたが、そもそも私が働いている会社はグローバルな会社であり、差別なんかしたら即刻クビになるので差別はないし、街中でも、アジア人が全然いないせいか逆に差別が全然ない。さらに日本人となるとかなりレアキャラなので、一回ミーティングに出ればみんな私の顔を覚えてくれるし、アジア人は若く見られるので、アジアから子どもが来ちゃったと思われてるのか、とにかく優しくしてくれる人が多い。この人、私のことを自分の娘だと思ってない?と感じるときもたまにある。

 

英語はやはり苦労する部分も多い。日本にいるときから外国人の友達はそこそこにいたし、仕事も半分くらいは英語だったものの、こちらでは40%聞き取れたら良い方かなというくらい。日本で英語教育を受けてきたので、私の英語のベースは白人のアメリカ英語である。そのためか、黒人とインド人の英語が全然聞き取れない。黒人の英語に対しては差別とかではもちろんなく、おそらく声の質かトーンに馴染みがないのだろう。

ただ、コールセンターの担当者は大抵黒人かインド人。しかも話すスピードが速い。コールセンターに連絡するということはそれなりなトラブルを抱えているわけだが、ただでさえそのトラブルでストレスを感じているのに、言語の壁によるストレスもかかるので、電話の後はかなり疲れる。これもいつか、問題なく話せるようになるのだろうか…ちょっと自信がない。

 

任期後、日本に帰るつもりはなくて、現地採用に切り替えたいと思っているし、関わる人たちにもそう伝えている。苦労する部分もあるけれど、やりたい仕事や、そもそもの自分の価値観を考えると、アメリカがベストとは思わないものの、日本よりはアメリカのほうが断然合っている。そのためにはこの駐在中にどれだけの成果を出せるかが大事なので、私自身が仕事にちゃんとやる気を出すのと、担当しているプロジェクトがダメにならないよう、頑張って念じようと思う。