外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

高学歴ワーキングプアのニュースがきっかけで思い返したこと

今日のYahoo!ニュースで高学歴ワーキングプアのなかでも、博士号を持っているのに低収入のケースについていて書かれていて、なんとなく大学院生のときを思い返した。

私がいた大学院を思い返すと、博士課程の学生には2パターンあった。研究がすごく好きな人と、修士の就活がうまくいかなくて進学した人の2パターンだ。

私は実験を必要とする研究分野にいた。研究がすごく好きな人のなかでもさらに2パターンあって、1つは猛烈に優秀だったり、その人とその研究分野の相性が良くて、いいデータが出まくって論文や学会発表をたくさんしている人。そういう人はもちろん卒業後の進路に困ることなく、大学に残ることもできるし、企業の研究職もあっさり内定を取る。もう1つは、研究がどれだけ好きでも、うまくデータが集まらなくて論文が書けず、博士課程をなかなか出れない人。そういう人はデータが出なくても、いかんせん研究が大好きなので、よく働くし、よく論文も読んでいて知識がある。そしてその人の研究愛を誰しもが感じ取れるので、大学に残ることができる。会社も超トップ企業の研究職じゃなければ就ける。

 

問題は修士のときの就活で失敗して、博士課程に進学したパターンの人だ。いつも高学歴ワーキングプアの話題を見るたびに、このパターンが思い浮かぶ。修士のときに就活で失敗した人はわりとそれなりに理由がある人が多くて、明らかに社交性に欠けていたり、成績も良くなかったり、研究もぱっとしなかったり、まあ、会社からは採用されにくいよなー、と学生ながらに思ったものだ。しかも博士課程に進学した理由が研究をしたいからではなく、致し方なくだからモチベーションが低くて、データが出ないどころか、修士の学生より知識がなかったりする。こんな人でも教員やポスドク、他の学生に恵まれるとなんとか博士号を取得することになる。こうなると、研究も微妙で社会性もあんまりない、どこで使われるべきなのか分からない博士が生まれる。まあそれでも、教授とかが色々なところに頼み込んでくれて、どこかのポスドクの仕事は得られている気がする。

 

こういう使い勝手が最高に悪い博士を知っているので、博士号があるのにバイト生活で低収入!みたいな記事を見ると、その低収入な人は博士号関係なしに低収入になってそうだし、その博士号に意味ないからだよ!と思ってしまう。それに、そういうキャッチーな記事がよく出ることで、優秀な博士になり得る人が大学院進学を辞めたり、研究者を目指さなくなるのは、日本というか、世界的にも損なことだから、なんとなくキャッチーだからという理由でそういった記事を書くのはやめてほしいなあ、とも思うところである。