外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

海外ドラマ、トランスペアレントはLGBTを上手く描いている良いドラマ

Amazonプライムで配信されているTransparentトランスペアレントに昨年末からはまっているのだが、なかなか周りに観た人がいない。2016年にはエミー賞の3部門受賞したらしいのに、海外ドラマ好きと話していても、あータイトルは聞いたことあるわー、くらいの反応をされるだけ。でもこのドラマ、LGBTをうまい具合に描いている良いドラマだと思う。

トランスペアレントは、妻と子供3人を持つ父親が、昔から身体と精神の性が一致しないトランスジェンダーであることを告白して離婚することからストーリーが始まる。そのカミングアウトによって家族の関係性が変わってくるだけではなくて、実は家族それぞれも性的な面で問題を抱えていたり、パートナーとの関係性に悩んでいたりと、色々な面がみえてきて、そこをドラマティックというよりはむしろ地味なくらい、でも丁寧に各キャラクターの心情を描いているドラマだ。映像も綺麗だし、音楽もよい。なにより、メインキャラクターもちょい役も、各キャストの演技が素晴らしくて、言葉がなくても、その表情や仕草からキャラクターの心情が伝わってくる。

また、人の性や趣向は何かに分類されたら変わらないような印象を受けがちだが、経験や出会う人によって変化しうるものなのかなという気づきも、このドラマは与えてくれる。実際、LGBTの友人の話を聞いたりイベントに出たりすると、異性と結婚もしてたけど大人になってから自分が同性愛者であると気づいた、とか、10代のまだホルモンバランスも安定していない頃は女性とも男性とも付き合った、とかはよく聞く話だ。

えてして、このようなLGBTを描いたドラマに興味を持って観る人はそもそもLGBTへの理解がある人な気もするが、LGBTとかよく分からないわ、くらいの人にこそ観てほしいドラマだ。LGBTでもなんでも関係なく誰だって、誰かに愛されたいし誰かを愛したいものなんだな、と思えれば十分なんじゃないか。あと、このドラマを観ていると父親がずっと女性的な服装であることに目が慣れてくるので、街中で見かける同様の男性に対してもなんだか優しくなれる気がする(別に元々冷たくしたりはしてないけど)。そういえば昔、ふりふりした服装でストッキングもちゃんと履いている男性が目の前を歩いていたとき、後ろ側のストッキングが伝線していることに私は気づいたものの声をかけていいものか分からず結局何もできなかった。今だったら声をかけるかもしれない。

 ちなみにトランスペアレントはコメディに分類されているようだが、げらげら笑うようなタイプではなく、たまにくすっと笑えるくらいのレベルだし、ウィットに富んだタイプのドラマ。たまにストーリーが心にずしっとくるので、精神が健全な時に観てもらいたい。