外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

ドキュメンタリー映画、すっぱいブドウ

先日飲んだ人と好きな映画の話をしていたら、Netflixで観れる「すっぱいブドウ」というドキュメンタリーが楽しいと聞いたので観た。その感想を書こうと思う。

ストーリーは、偽造ワインの詐欺について。リーマンショックの前あたりにアメリカではワインオークションが過熱していて、収集家たちはそのワインを飲み比べするコミュニティに入っていて、単純に飲むことも楽しむし、古いワインは飲まれることで希少価値が上がるため資産としても所有している。ワイン収集家は年配が多いが、そのコミュニティにワインに関する知識が豊富で、正確にワインを飲み当てられる若者が入ってきて、古参のワイン収集家たちは彼に惹かれていく。でもその若者は、持っている素晴らしいワインへの才能を用いて高級な年代物のワインの模造品を自分自身でワインをブレンドすることで製造して、ラベル等も模造し、オークションに流していく。
模造されたワインのオリジナルとなっている醸造家がその模造ワインの存在を知り、詐欺の罪で追い詰めていく。しかし、その若者とワインを嗜んでいたコミュニティの人たちは、自分たちが偽造ワインを摑まされていたと知った後、その若者を恨むどころか、彼の人柄や彼とワインを楽しんだ思い出を懐かしみ、彼に感謝の念すら抱く。また、彼のことを援護する人もいる。
騙された人達はワイン通な顔をしておきながら実際は偽造ワインだということに気がつけなかったわけだから、気持ちの折り合いをつけるために、でも彼は良い人だったんだよ、と言っているのかもしれない。
でも、それとは別に、その若者と過ごす時間自体に価値があったのかもしれない。私はそこそこな酒飲みであるが、どれだけ良い酒であっても、一緒に飲む相手が不快だったりしてその時間を楽しめなかったときは酒の味など関係なく、嫌だった思い出しか残らない。一方で、安酒であってもその場が楽しければ次の日ひどい二日酔いに悩まされても笑い話にできる。お酒の場ではなくとも、同じような経験は誰にでもあるのではないだろうか。

この若者は自分でワイナリーを開いたり、もしくはブレンドして似せたワインを作っていることを売りにすれば、むしろ新しいワイン界でパイオニアになれたりしたんじゃないかなと感じた。

 

私はNetflixでドキュメンタリーをよく観るが、両方とも、特にパッケージが地味すぎて存在にすら気づいていなかった。このドキュメンタリーはなかなか面白かったと思うのだが、日本語タイトルもパッケージもどうにかならなかったのだろうか。