外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

思い出のキスってありますか?

昨年夏にデートした男性から、君とのキスを考えてた、とメッセージが来た。

彼はアメリカ在住のヨーロッパ人で、日本出張ついでの旅行で東京に滞在していた。その時に知り合って、なんだか意気投合して、お互いの個人的なことや国の文化などについて終電がなくなってもバーでずっと話していた。彼はプレイボーイタイプの人ではなくて、女性と知り合う機会も仕事柄少ないし、素朴というか、地に足が着いた感じがあって印象がとても良かった。また、せっかく日本に来たからと、簡単な日本語を積極的に覚えたり、バーにいた少し英語が話せる日本人のおじさんとコミュニケーションを取ったり、その国の文化を知ろうとするところも、彼を良い人だなと感じた理由だった。

結局3軒はしごして、まだ話したいことが色々あると思いつつも、私は次の日に仕事があったのでタクシーで帰ることにした。タクシーを待っているときにも、ずっと話していた。会話が途切れたときに、キスしてもいい?と聞かれた。大人になってそんなことを聞かれることなんてなかなかないから、少し笑ってしまった。ヒゲがちくちくして、でも、厚みのある唇はすごく気持ちがよくて、近くには工事現場の人たちがいたけれど、ずっとしていたかったし、この人とは合うと思えた。これが彼との思い出のキスの1つ。

そのキスでスイッチが入ってしまって、その次の日から彼が帰国するまで毎日会った。お互いよい大人なので結局連日一緒に夜を過ごしたものの、彼の誘い方が毎回不器用で、そこも可愛く思えた。泊まった朝、まだ私が寝ぼけていて目も開けてなかったときに、おでこにキスされた感触があった。目を開けたら彼は目を覚ましていて、私の方を見て、おはようと言った。そんなことは愛情がないとできないことだし、過去に付き合った人とも何回かしか経験がない。外はよく晴れていて、陽の光がカーテンの隙間から差し込んでキラキラしていて、こんな素敵な朝が毎日続いたら幸せだろうなあ、なんて思った。これが思い出のキスの2つめ。

身体も相性が良くて、セックスしては寝て、起きてまたして、みたいな感じで、ろくに一緒に観光しなかった。このままじゃいかん、ということになって、お土産を買いに新宿をフラフラしつつ、伊勢丹に行った。彼は料理が好きなので上の方のフロアで食器を買ったり、キッチン用品を見てまわった。途中で見つけたミトンが全然彼の手に入らないサイズで、指先しか入らないー、とふざけてきて、私だけではなく周りの店員さんやお客さんも笑っていて、なんなら話しかけてきた。そういう、ちょっと子どもぽくて、人に好かれやすいところも好意を持った理由のひとつだった。

その日はもう帰国の日だったのでホテルに戻って、真夏だったからホテルに帰るだけでも汗をたくさんかいたので、彼がお土産をパッキングしている間に私はシャワーを浴びていた。洗面所の荷物を取りたいから入るね!と言って入ってきて、そのまま部屋に戻るのかなと思ったら、シャワーカーテンを少し開けて、唐突にキスをされた。へ?みたいな顔をしていた私に彼は、シャワー浴びてる姿が可愛くて!と言った。このキスが思い出のキスの3つめで、なんでだかは分からないけれど、1番思い出深いキス。今でもたまに思い出してしまう。

 

彼が帰国してからもたまに連絡は取っていて、お互いの住んでいるところの間にあるし一緒にハワイに行こうよと誘われたり、彼が夏に母国に帰るときは私も行くよ、とかそんな話をしている。でもそんな高頻度で連絡を取っているわけではなくて、お互いのインスタで気になるようなことがアップされてたらコメントするくらいの仲だ。

それなのに、なんともなかった平日に、君とのキスを考えていたんだ、とメッセージがきた。私はその時オフィスにいて、そのメッセージのせいで逆に私の頭が彼とのキスのことでいっぱいになって仕事が止まった。それから数日経った今も、思い出してしまう。

その彼はマッドマックスやX-MENに出演しているニコラス ホルトに何となく似ている。私とあなたのオープンな関係、という映画で初めてニコラス ホルトを知った。顔自体もそうだし、整っているのに笑うと顔が崩れる感じとかが似ていて、映画のなかの不器用なキャラクター性にも彼を重ねてしまって、すごく好きな映画になった(映画のストーリー自体もすごく良い)。

こんなブログを書いてしまったので、まだしばらくは、彼のことを考えてしまう気がする。