外資系キャリアウーマン駐在員の日常

貪欲な三大欲求を持つアラサーの頭の中を吐き出す雑記。アメリカの地方都市で駐在員しています。

アメリカで人生初の給油をした話

アメリカに住み始めて、特に最初の1ヶ月は毎日学びの連続だった。

うまくコミュニケーションが取れなくてきついこともあったけれど、そこを気にしすぎると精神的に参ってしまうので、自分が新しくできるようになったことにとにかくフォーカスするようにした。左ハンドルの車を運転できた、とか、言い直ししないで英語が伝わったとか、小さなことで自分を褒めるようにしていた。

 

特に強烈に覚えているのは初めてのガソリンスタンド。

免許は学生時代に取得したものの、私は東京にずっと住んでいたので、運転することはほとんどなかった。どこか地方を旅行したときにレンタカーを借りて運転するくらい。旅行の時はいつも誰かと一緒だったので、文字通り人生で一度も給油したことがないままアメリカに来た。教習所でもガソリンメーターの読み方は教わっても、ガソリンの入れ方は習わなかったし。なんなら給油経験がないことすら気づいていなかった。

しかし、こちらで1週間くらい車を運転していて、ふと気づいた。あれ、車ってガソリン入れなきゃ止まるんじゃないの…?と。

メーターを見たらかなり減っている。とりあえずGoogle検索して、色んな心優しい人たちが画像付きで給油方法を書いてくれていたものの、そもそも給油をしたことがないので、書かれている単語が全然理解できない。また会社貸与の給油専用カードを使うことになっており、さらに複雑だった。

仕方がないので、とりあえずガソリンスタンドに行き、車を止め、レジでアルバイトのお姉さんに「ガソリンを入れたいので入れ方を教えてほしい」と伝えた。そのお姉さんは20歳前後の若い女性で、この地方都市で生まれ育った感じだった。つまり、外国人の英語に全く慣れておらず、しかも「ガソリンの入れ方を教えて」という質問自体が意味不明だったのだろう。ぶすっとした顔ではっきりと、「あなたの言っていることが全く分からない」と返答された。

拒絶されて正直すごくショックだったものの、ただここで引き下がったらガソリンを入れることができない。もうどうにでもなれ、という気持ちでそのお姉さんに「私はつい先週この国に引っ越してきた。それまで住んでいた国では電車を使っていたので、車に乗ったことはほぼなかったし、ガソリンを入れた経験が人生で一度もない。これが初めてのガソリンスタンド。だからどうやって支払いをしたらいいかも分からないし、給油の仕方も分からない。だから私にはどうしてもあなたの助けが必要。」と伝えてみた。

そうするとお姉さんが優しくなって、「ちょっと待って、あなた本当に人生で一度も給油したことないの?うそでしょ?笑」と聞いてきた。本当だよ、と答えると「分かった。じゃあ他のお客さんに対応するからちょっと待ってね。」と言ってくれ、揉めてることに気が付いた男性の上司も出てきて、「この子、初めてのガソリンスタンドだって言うの!すごくない!?」「まじかよ!どこから来たの?」といった具合で、急に2人ともフレンドリーになり、結局30分くらい2人とも私に付きっきりで給油の仕方と支払い方を教えてくれた。

正直、給油すらできない自分に失望してかなりショックだった。でも一方で、こんなに優しくしてくれるだなんて!と感動したし、私が日本で困っている外国人にここまで優しくしていたかな、と反省もした。

帰る際に私ができる精一杯の表現で、2人がいかに私の助けになったか、本当に心から感謝していることを伝えたら笑われたけれど、これ以降はできるかぎりこのガソリンスタンドを使うようにしている。